NEWアルバム『PHOENIX』で3曲のコラボ曲を制作した大黒摩季と當間ローズ。二人の出会いのきっかけから楽曲の制作秘話を聞いた。

大黒摩季さんと當間ローズさんが今回コラボレーションをされましたが、お二人の出会いのきっかけは何だったのか教えてください。

ローズ:出会いのきっかけは、去年パラリンピックを応援する「スポーツ・オブ・ハート」というイベントでした。そこで僕はモデルとして、摩季さんはもちろん歌手で出演していらしたんです。会場でご挨拶する機会があったので、自分のCDをお渡ししたら、一年越しで聞いてくださったんです(笑)。

大黒:フェスの時など、よく新人のアーティストの方が挨拶に来られるんですけど、いつもCDを頂いたり交換したりするんですけど、ローズ君もその時いただいたんです。

ローズ:僕がラテンをやっているっていう話をしたら、夏にちょうどラテンの曲をやろうと思っているんだけど、「ローズ君、コラボしない?」って言ってくださって。

大黒:8月の配信リリースが「Dee Dee Dee Dee Deeper Love ~恋のソーシャルディスタンス~feat. TOUMA ROSE」だったんですけど、制作に入ろうかなって思っていた6月とか7月ごろだったと思います。コロナ禍で、鬱蒼としていて、人生頑張るぞ!みたいな歌ばっかりの世の中だったから、私もですけど、聞いている側が重々しくなってきてしまった感じがあったんです。私、去年の大晦日で50歳になったのを機に、年が明けたら恋をしよう!って思っていたんですよ(笑)。そしたら3月にステイホームって言われて、表に出れなくて、出会いもなく、妄想がすごくなってきたんです(笑)。私、セクシーなラテンが大好きで、グロリア・エステファンとか、マイアミ・サウンド・マシーンとか聞いて育っているので、ドメスティックなラテンの人たちよりも、キャッチーでポップな曲が好きなんです。もともと親交のあったサウンドプロデューサーのYohey君とコロナ禍で気分的にも沈み込んでしまっている今だからこそ、お洒落なラテンをやろうっていう話になったんです。でも日本のラテン音楽の人々って基本ご年配が多く初々しい人あんまりいなくて悩んでいた時に、以前もらったローズ君のCDが目に入ったんです。オーYes!!連絡してみたら快く快諾してくれたんです。

ローズ:嬉しいですし、光栄ですよね。イベント以降お会いする機会がなかったんですけど、レコーディングの時に久しぶりの感じがしなくて。ハグから入りましたから(笑)

もともとフィーリングが合っていたんですね

大黒:ローズ君の方がきっちりしていてよっぽど日本人っぽいんですよねぇ(笑)。いつも彼に言われるんですけど、私の方がラテン系だって。真面目な話、新型コロナウイルスに私たちが奪われたものは、つながりとか温もりだと思うんです。音楽はそれを秒で感じとれるものだし、特にラテンはすごくセクシーな音楽でしょ?音楽が鳴ったら全員がブラザー・シスターみたいに打ち解けてしまう力があるんです。レコーディングとか一緒に何かを作り上げていく上で団結感というか、クリエイティブの細かい苦楽を共にすると最後はファミリーみたいな感覚になるんです。


大黒さんから見て、
當間さんの一番の魅力はなんでしょうか?

大黒:世間様だと、顔と体って言うんでしょうけどね(笑)。

ローズ:そうですか?(笑)

大黒:私は顔・体よりも声フェチだしミュージシャンだから、彼の声は独特で魅力的なんです。日本人にない倍音があるし、スイートさがあるんです。日本人は声帯の大きさが、海外の人よりも小さくて、女の子だともっと小さいんです。ただ私は特異な体質で、声帯が日本の男性並みに下にも長いんです。彼はこのフォルムからすると実際鳴っている音はヨーロッパ系の血筋的にはそんなに声帯は大きいって感じではないんですけど、多分そのサイズが似てるんでしょうね。だからデュエットしているときにどんどん似てくるんです。「WE ARE THE LOVE ~ dedicated to J & L ~ feat.TOUMA ROSE」のレコーディングの時くらいになると、本当にずっと一緒に音楽をやっているみたいに合ってくるんです。ローズ君の中低域の倍音というか甘い声は宝物だよっていつも言ってるんです。

ローズ:嬉しいですね。

大黒:それを伸ばしてみたい!と思うくらい声の魅力があるから。私は相手にポテンシャルを感じていないと正直、自分の200%は出せない。こちら側からすると、苦楽をともにして、成功するまでともに戦わなきゃいけないところに、魅力を感じていないとミラクルを狙うエナジーが沸かないというか、精神的に極限まで粘る底力が出なくてもたないと思うんですよね。彼にそれがなかったらこんなに執着してないと思うし。大概は原石と思って叩いて割ってみたら岩だったなんてことはよくあるんですけど、ローズ君は久しぶりにダイヤの原石かもしれない?!と思いました。彼の声には絶対的な魅力があると思います。

ローズ:日々勉強です(笑)

大黒:ローズ君はポテンシャルがとても高いと思います。今「バチェロレッテ・ジャパン」のおかげで音楽とは少し違った場所での露出が多いですけど、大黒摩季とのコラボが音楽の畑に戻ってこれるようなベースキャンプになれればいいな、と思っています。

いろいろな視点で當間さんの魅力を引き出そうとしている大黒さんですが、當間さんから見た大黒さんの最初からの印象はいかがでしたか?

ローズ:最初会った時本当に怖かったです。変なこと言ったら摩季パンチが飛んでくるんじゃないかと思ったくらい(笑)。

大黒:いいよ、ボコボコって言って(笑)

ローズ:じゃあ使いますね。(笑)ボコボコにされるかと思ったんですよ。でも知れば知るほどすごく可愛らしい人で、こんなにかっこよさと可愛らしさと兼ね備えた女性って、本当に初めて出会ったくらい。本当に可愛らしい人なんです。

大黒:振れ幅半端なく広いよね(笑)

ローズ:全然違います。ONの時の摩季さんとOFFの時の摩季さんは180度違っていて、すごく可愛いなって。男性はそこのギャップにやられると思うんですよね。あと男性を輝かせるパワーを持っているんです。本当に太陽みたいな人ですね。

そのような出会いがあって曲を完成させ、アルバムを完成させました。レコーディング中のお二人のそれぞれのエピソードはありますか。

ローズ:僕の番なのに隣でずっと一緒に歌ってくれるんですよ。おかげですごくリラックスできて。

大黒:緊張しているのか、すごく硬かったんです。最初(笑)早く気持ち開けて!時間ないしと思って(笑)あの手この手で。

ローズ:乗ってきたなと思ったくらいに隣で踊ってたり(笑)それくらいリラックスさせてくれました。本来アーティストとしても先輩だし、気を遣わせてしまうのは申し訳ないとは思うんですけど、嬉しいですよね。

大黒:私欲張りだから。こっちは200点を求めているのに閉じたまま80点で終わられたら不完全燃焼&大損じゃない。だからあの手この手で必死に盛り上げて(笑)レコーディング中のトークバックって冷たく感じるんですよね。「もう一回お願いします」とか、どこがよくない、何かあったのかしら?って、私でもビビるから(笑)。だからディレクションする時は、明るく朗らかな別キャラになります(苦笑)。根本的にローズ君は一つ一つ真面目に受け止めるから、そうするとこっちもいい球投げようかなって思うじゃないですか。私がもう使い古した自分のテクニックを嬉しがりながらぐんぐん吸収していきますからね。例えば疑問があったとしてもまずはやってみますと言って、とりあえず挑むから。挑んでいる声と挑めてない声ってわかるんですよ。

レコーディング中もどんどん成長が見えたんですね。

ローズ:やっぱり大黒先生の熱量がすごかったですから(笑)。

大黒:私自身は自覚がないのでわからないんですけど、音が鳴ってるときだけ、異常なパワーが出るみたいで(笑)前半に「Dee Dee Dee Dee Deeper Love ~恋のソーシャルディスタンス~feat. TOUMA ROSE」の歌入れで呼んで、その日のうちにコーラスまでレコーディングをして写真も撮るし、とにかく時間がなくて濃厚な一日でしたね。そこから次は「WE ARE THE LOVE ~ dedicated to J & L 〜 feat.TOUMA ROSE」だったんですけど、その間に「LINE LIVE-VIEWING」とか、無観客のライブに出てもらって。たかだか4か月だったんですけど、去年と今の音楽環境って大きく違うと思わない?

ローズ:全然違いますね。今年は僕にとっては成長の年だったというか、摩季さんから学ぶことも多かったし、感謝でしかないですね。人生初のコーラスも経験させていただいて。大丈夫かなって、前日まで言っていたんですけど大丈夫でしたね。

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