仕事の流儀 株式会社すてきカンパニー代表取締役 鈴木基博氏インタビュー Vol.2

前回に引き続き、株式会社すてきカンパニー鈴木基博氏が登場。株式会社すてきカンパニーにかける思いとは・・・

 

■すてきカンパニーを作るきっかけはあったんでしょうか?

 私が55歳の頃、実は「死」という事を強く感じた事があって、自分の人生を本当に真剣に考えました。サンリオを60歳で定年退職するか65歳までシニア社員として残って仕事を続けていくかを含めて考えた時期でした。「どうせ死んじゃうんだ」と思った時、80歳が自分の寿命だと仮定したら、55歳から25年、60歳の定年からは20年しかないと気付きました。だったら、もっと沢山の事をやって、人生ももっと楽しんだ方が良いと思ったんです。

それで、55歳から60歳まで会社設立の構想を立てながら、更なる人脈作りをして来ました。会社退職後、翌月には今の株式会社すてきカンパニーを立ち上げてました。サラリーマンとして38年間サンリオという素晴らしい会社で勤め上げることが出来、その後は素敵な事だけして行きたいという思いを込めた社名となりました。そして実際に退職前後に色々な会社にご挨拶に伺った際に、今後どうなさるんですか?というご質問が必ずありました。その時に、素敵な事を沢山やって行きたいとお話しすると、幸運にもアドバイザーや顧問のお話を頂き、現在、11社のアドバイザーをしております。これが、今の弊社の基盤となってますね。

■ 11 社も関わっていらっしゃるんですね。

 はい、幸運にも沢山の方々に助けられてますね。私は、本当に人が好きで、サンリオ時代から当時の上司の専務からも「沢山の人と会食をして仕事を広げる」という事を学び、ほぼ毎日会食してました(笑)。新たな人と会って色々な話をする事が当時から大好きだった私にとってこの事が、自分の引き出しを増やし、人脈を広げる事ができました。それが、11社に繋がっていると思います。

■素晴らしいご縁があるんですね。

 やっぱり常に人の繋がりと縁で実は全部成り立ってるっていう事を、今凄い感じていて、先ほども死を意識しているというのは、80 で死ぬことを前提にすると、まあせいぜい70 歳まで懸命に突っ走って、あと10 年間楽しく暮らしたいなと思うじゃないですか。そう思うと60 歳から65 歳はとても大事な時間なので、自分で事業を始めて、70歳 まで素敵なことをやりたいと思いました。当然70歳 から80歳までの資金も必要になるし、自分や家族で楽しいことをやるために素敵な生き方をして素敵に死ぬために今やってるみたいな感じですね。

■なるほど、座右の銘みたいになってますね。

 すてきカンパニーという社名は、当然ですが、結構気に入っていて、皆様から良い名前ですねと仰って頂けてます。会社のロゴマークも実は好きで、このロゴマークは、実はサンリオのS、鈴木のSとすてきカンパニーのSなんです。だから今の自分を全部作ってくれた会社、自分自身、それからこれからの会社のS を表現してるんです。このSに「ハート」と「矢」をモチーフにしてます。すてきって何かって考えたらハートに矢が刺さることがピッタリですよね。これがマークになっています。ハートも元々サンリオの創業当時のロゴがハートにリボンでしたので、そのハートも頭の中にありました。

僕の凄い大事な大好きなデザイナーさんがいて、そのデザイナーの方に自分のコンセプトとこういう会社作りたいんだって言ったら、十個ぐらい描いてきてくれたんです。実は、デザイナーさんもこのロゴしかないと思ってたのですが、私へのプレゼンだから沢山考えてくれたんですね。正直、このロゴマークに一目ぼれでした(笑)。

実は、会社立ち上げ、名刺が出来てから、サンリオの辻社長にご挨拶に伺い、名刺をお渡しできたんですが、その時に辻社長から「すてきカンパニー」良い名前だね!って言って頂け、そしてロゴの由来(前述)をお話ししたんです。3つのSの一つがサンリオのS、ハートはサンリオ創業当時のロゴマークから頂いたと・・・。それを聞いた辻社長から「いいね!ロイヤリティもらわなきゃ(笑)」と。このウィットにとんだ発想と切り返しに改めて感服しました。もう92歳(当時91歳)ですが、やはりそういう方に惚れてずっといられた会社なんだなぁと改めて思いました。

■まさに全部合わさって今までの人生のご縁を大事にした集大成ですね。

 はい、とにかく今まで出会った方々のすべての方々に本当に感謝しております。まあこれから弊社が、どうなるかもはっきりと申し上げられませんが、やっぱりすてきじゃないことはもう絶対したくないと思ってるので、例えばですけど、すごい利益が上がる仕事だとしても、ちょっと気の進まない人とのお仕事だったり、人が不幸になったり、誰かを蹴落としたりするようなことだったら、いくら利益が上がっても、それはしたくないし、しないと思います。逆に全然利益にならないけど、なんかこれ素敵じゃないかって思うことは、できるだけやりたいと思ってます。そんな風に人生軸を「すてき」において、色々やって行きたいと思ってます。

※このインタビューはBANZAI2020冬号を再編集したものです。