上田慎一郎監督にインタビュー!2016年製作『ナポリタン』について語る。

『カメラを止めるな!』で旋風を巻き起こした上田慎一郎監督が2016年製作『ナポリタン』について語る。見たあとに思わず「ナポリタン」と、必ず口に出して言いたくなってしまう。上田監督の短編ファンタジー映画。

カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督がつくる短編映画「ナポリタン」について

―映画監督になろうと思ったきっかけを教えてください。

きっかけ…正直、覚えていません(笑)。「いつの間にか」です。ただ「いつの間にか」に辿り着くまでの、原因はいくつか思い当たります。「幼い頃から物語を考えるのが好きだった事」「友達の父が棚いっぱいの映画ビデオを持っていて、それを借りて見まくった事」「家に使ってないビデオカメラがあり、友人と自主映画を撮り始めた事」などなど。潜在的なアレや、偶然的なコレに導かれ、いつの間にか「映画監督になる」と言う様になっていました。

―作品を創る上でのこだわりは、どのようなところでしょうか。

生涯「コメディ」を創って行きたいなと思っています。「監督が世界をどんな色眼鏡をかけて観ているか?」だと思います。どうやら僕は日々世界を喜劇的に観ているようで。悲しい事も、切ないことも、怖いことも、コメディにしたら…と頭が働いてしまいます。シリアスな作品、社会派作品、アートな作品…正直そんな映画に憧れはあります。でもそれはそういう色眼鏡をかけた監督に任せて、僕の今回の人生は「コメディ」に賭けてみようかなと思っています。

―前作「ナポリタン」はどんな作品にしたいと考えていらっしゃいましたか?

「ある日突然、他人の言葉が「ナポリタン」としか聴こえなくなった男」。そんな奇妙奇天烈なお話を愉快・軽快・明快な娯楽作品に仕上げたいと思っています。表向きは頭を空っぽにして楽しめるファンタジー。でも観客の心の片隅に引っかかる「真実」も隠し味として混ぜ込めたらなと。それが出来れば映画になるかなと思っています。余談ですが、映画を観終わったお客さんがロビーで「ナポリタンナポリタン」と言い合っていたら僕の勝ち、という小さな賭けをしています。

―最後に、改めて感じている映画の魅力を教えてください。

映画の魅力…なんと難しい質問でしょう。それに答えるには「映画とは何か」という巨大な壁にぶつかります。映画監督はそれをずっと追い求めるのが仕事という気もします。ただ、思い当たるとすれば「大嘘が現実を動かす」という事でしょうか。映画の中で描かれるフィクション、大嘘が非日常が、観客の現実を動かす。もちろん現実をリアルに描いた映画も沢山ありますが、自分は映画の中で大嘘をついて、誰かの現実を動かしたいと思います。それが出来ればそれは「映画」になったのかなと思うんです。

田慎一郎監督 短編映画「ナポリタン」ジャケット

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【キャスト】福島龍一/秋山ゆずき/牟田浩二/森恵美/井関友香
【スタッフ】 監督:上田慎一郎/脚本:上田慎一郎
エグゼクティブプロデューサー:清水佳代子
プロデューサー:大和田光人
ラインプロデューサー:川口貴弘

PROFILE

上田慎一郎|滋賀県出身。中学時代から友人と自主映画を製作。2009年に映画製作団体PANPOKOPINA(パンポコピーナ)を結成。「100年後に観てもおもしろい映画」をスローガンに、普遍性の高いメッセージをポップにくるんだ、娯楽性の高いエンターテイメント作品を創り続けている。最新作『カメラを止めるな!』2018年製作。

 

「出会いと、ナポリタン」

川口貴弘インタビュー

ある会でシミズオクト副社長と出会い「ナポリタン」が作られました。川口自身の主演映画を作りたいお話をして、1年弱、高田馬場にある本社に通い、ようやく製作許可をいただき動き出しました。数名の監督を挙げて欲しいと言われ、インディーズで名を馳せていた3名の監督の企画書を提出し、タイトルだけですでに気になった「ナポリタン」に矛先が向き、上田監督の作品「彼女の告白ランキング」を見て満場一致で直ぐに決まりました。その後、上田監督と初めてお会いしたのですが、その時の印象は、簡単に人を受け入れない、強い意思と拘りを感じる飄々とした面白い方、、でした。企画が動き出し、上田監督ともお会いしていく中で、本当に「映画愛」を感じる監督で、結局川口は主演のイメージに合わずでしたが、監督が誰よりも一生懸命で誰よりも動いているのを感じていたので「お手伝いをしたい」と裏方に回りましたが、、冒頭のシーンに出してくれました(笑) 物語の中心は、ある日主人公は人の話が「ナポリタン」としか聞こえなくなります。その現象が既に成立するか心配になる要素が多いと思いますが、見事、娯楽映画になってます。キャストの皆様も一生懸命で、先ずはベースになるセリフを入れ込み、そのニュアンスで「ナポリタン」と表現しなくてはならないので難しいのですが、日々「ナポリタン」の反復で頭の中が「ナポリタン」だらけになり、日常でもつい「ナポリタン」と発してしまうと聞きました、素晴らしいですよね。キャスト、スタッフ、そして1ミリも手を抜かない上田監督の映画愛がこの「ナポリタン」にも沢山詰まっております。

PROFILE

川口貴弘|北海道出身。映画、CMを中心に活躍しておりエリートサラリーマンから、パンチパーマのヤクザまで幅広く演じられる俳優として注目されている。その演技はストーリーのスパイスとして欠かせない味を出している。