Relay Column 株式会社コムブリッジ 取締役社長 殖栗聡昭、 社内コンペで若者が掲げた「夢を実現するリアルなプラットフォーム」を通して

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無視しては通れないイベント制作者への問い

先日、「今までにない新しいイベント」というお題で、社内企画コンペを行いました。投票の結果、票を多く集めた企画のうちのひとつは「夢を実現する場所をイベントやリアルでつくる」というものでした。近年、SNSやオンラインサロン、クラウドファウンディングなど、オンライン上には人が集まってものをシェアしたり、人とコラボしたりして、目的や夢を叶えるプラットフォームが数多くあります。そのイベントはそうした「夢を叶えるプラットフォームを“オフライン”というリアルの場でつくれないだろうか」というイベント制作者として無視して通れない問いを投げかけてくるものでした。

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ネットが盛り上がるほど高まるリアルコミュニケーションの価値

その時、イベント業界の先輩と飲み、「これからのイベントとはどんな形なのだろうか」と語り合ったことを思い出しました。10年ほど前、ネット上で人々が簡単に出会い、オンラインでコミュニティがつくられていく時代が到来した時のことです。先達曰く、人間のコミュニケーションの根源的目的が『繁殖』と『生存』である限りは人間同士のダイレクトな接触が必要だそうです。そして、人間は五感という、繁殖と生存のために必要なものを選ぶ独自かつ最強の基準判定能力を有し、それを通さなければ道しるべを失い判断不能になる。つまり、人が人として生きていくには、人は人と会わなければなりません。

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メディアやネットはイベントやリアルの出会いの場の前景であり、メディアやネットが盛り上がるほどイベントやリアルコミュニケーションの価値が高まります。これからのイベントがどう形成されていくのかは正直わかりません。しかし、『繁殖』と『生存』というカルマから人間が抜け出すにはあと10万年はかかるでしょう。それまでカタチは変われどイベントやリアルはなくならないと私は信じています。

変わらない、リアルイベントが繋ぐ出会いと創造

懐古主義のように聞こえるかもしれませんが、イベントにはプリミティブ(原始的)なものが宿っていると私は感じています。太古の昔から人と人が出会い、新たなアイデアやクリエイティビティを生み出してきたように、今私がつくっているイベントは未来へとインスピレーションを運んでいくかもしれません。そう考えると、非常に貴い仕事をさせてもらっていると感じます。


五感を刺激する出会いがないと人々は生きていけません。若者が掲げた「夢を実現するリアルなプラットフォーム」というアイデアは、メディアやネットの中では満足しきれない、現代社会にふわふわと浮かぶ何かが、そろそろ形になろうとしているように感じてなりません。

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殖栗聡昭(うえぐりとしあき)
株式会社コムブリッジ 取締役社長 | 関西大学卒業後、大阪のテレビ番組制作会社でバラエティ番組等の制作に携わり、その後上京。2003年、株式会社コムブリッジ入社。企画制作事業部にて多数のイベント制作に携わる傍ら、地域映画『ハナばあちゃん!!~わたしのヤマのカミサマ~』の製作にも参加。最近は持ち前のストーリー構成力にて企業・団体のステージや映像を多数制作する。2017年、株式会社コムブリッジ取締役社長に就任。